ブラジル国における次世代がん検診センター設立プロジェクト

事業名

ブラジル国における次世代がん検診センター設立プロジェクト(平成27年度医療技術・サービス拠点化促進事業)

 

本事業の背景

ブラジル国は人口1.9億人、国民医療費は2,207億米ドルであり、ともに中南米最大の規模を持つ本事業化にふさわしい市場である。
一人当たりGDPが10,000米ドル以上と、所得が一定水準を超え、国民の健康意識が高まりつつある。
南米では近年、生活習慣の変化に起因するがん等による死亡率の増大が大きな社会問題となっている。中でも生活水準の向上や食生活の欧米化により大腸がんの増加が顕著で、ブラジル国では大腸がんの罹患率が急激に増大(1996年から2010年の14年間で76%増加)しているにもかかわらず、大腸がんの早期発見に対する取り組みは未だ不充分である。
乳がんについては高い罹患率、胃がん、肺がんについては高い死亡率が見られ、早期発見・治療のシステム導入が急がれるところ。また、近年任意保険の加入率が増加しており、民間による集団検診市場形成の可能性もある。

 

本事業の目的

「ブラジル国における次世代がん検診センター設立プロジェクト」では、大腸がんのみにとどまらず、対象とするがんの種類を拡大させた「次世代がん検診センター」をサンパウロ大学附属病院(Hospital University of the University of São Paulo:HU-USP)に設立し、主として地域住民を対象にがん検診を実施していくことを目的とする。日本製の最新のシステムや医師らによる技術指導により実施される「がん検診センター」としてブラジルにおけるレファランスセンターとし、ブラジルでのがん検診の普及促進を図っていく。これにより、内視鏡・デジタルX線画像診断装置・デジタルマンモグラフィ及びPACS(Picture Archiving and Communication Systems;医療用画像管理システム)や、大腸がん検診の免疫学的便潜血検査(immunoassay Fecal Occult Blood Test;iFOBT)キット・胃がんリスク検診のABC検診用の検査試薬等、がん検診に必要な機材と検査試薬キットの使用機会を増やし、日本製品の輸出拡大を図っていく。

 

事業期間

2015年7月(平成27年)~2016年2月(平成28年)

 

受託企業

ブラジル国における次世代がん検診センター設立プロジェクトコンソーシアム(当社はコンソーシアム企業として参画)

 

本事業の概要

次世代がん検診センターは、大腸がん・胃がん・肺がん・乳がんの4種類の主要ながんを対象とし、HU-USPに開設する。平成28年度の開設を目標に、対象とするがん別に段階的に調査・実証・普及フェーズを展開し、最終的に統合して総合的な検診センターとする。トレーニングは国立がん研究センターの協力も仰ぎ、日本の検診技術を総合的(検査方法などの技術的なトレーニング、検診技術を支える日本製の医療機器、集団検診制度の導入など運営ノウハウ)に移植する。

  • ①HU-USP内での次世代がん検診センター設立に向けた準備室の開設
    デジタルX線診断装置(肺がん、乳がんに対応)、胃がん/大腸がんの検査用に内視鏡システム(ブラジル国で薬事認証を取得したばかりのレーザー光源搭載内視鏡システム)を設置し、技師に対して富士フイルムのブラジル現地法人によるアプリトレーニングを実施。更なる診断能力の向上を図っていく。また、胃がん、大腸がんの内視鏡トレーニングについては国立がん研究センターから内視鏡医を派遣し、スクリーニングを中心としたトレーニングを開始する。平成25年度から実施している日本式大腸がん検診 (免疫化学的便潜血検査+内視鏡による精密検査)をHU-USPにおいて継続する。受信者数の増加を図り、データを蓄積し、有用性の更なる深堀を行う。具体的ながん検診センターの運営について日本での事例を紹介し、平成28年度中の検診センター開設に向けて具体的なノウハウを学んでもらう。
  • ②胃がんリスク検診システム(ABC検診)実証調査
    早期胃がん発見への寄与等を目的に、HU-USPを中心に現地病院のもとで、胃がんのリスクスクリーニング検査の一つであるABC検診の実証調査を行う。検診データの収集と検証によりブラジル国でのABC検診の有用性を実証調査する。
  • ③現地政策当局・民間保険会社との連携・活用の協議推進
    ブラジルのJICA事務所や日本大使館等の現地での日本機関を訪問し本事業を紹介し、ブラジル連邦の保健省へのアプローチの支援を仰ぎ、保健省への事業紹介、協力支援の取り付けに向けた協議を進めていく。また、民間保険会社に対しては、iFOBTによる大腸がんスクリーニングおよび内視鏡による精密検査の有用性を提示し、採用に向けた協議を進めていく。
  • ④日本の検診センターの事例紹介
    具体的な検診センターモデルのノウハウを学んでもらうために、がん検診センター設立準備室のコアメンバーを日本に招聘し、国立がん研究センターのがん予防・検診研究センターの他、日本のがん検診センターの具体的な運営について日本での事例を紹介する。
  • ⑤協業可能な日本企業との折衝
    すでに富士フイルムブラジル現地法人が協業している日本企業やMEJ加盟企業、医療機器メーカー、検査試薬メーカー、現地法人を持つ企業等などコンソーシアムメンバーとの競合・補完関係に配慮しつつ、次世代がん検診センターの全体構想を実現するために協業可能な日本企業を選定し、参加要請、折衝を行う。商材については、単に医療機器や検査試薬だけでなく、トレーニング機材や検診対象となる地域住民を対象とした健康飲食品など幅広い観点から検討する。

 

 

2017年12月11日|国:ブラジル|年:2016,2015